最近見た新聞記事で、DIC(旧大日本インキ化学)が色の再現能力の認定を行うというニュースがありました。
写真のデータ化を行っていると、色に対しては非常に気を使います。入力時の色ずれ、調整時の色ずれ、お客様がご覧になる環境に依存した色ずれという3段階の色ずれ可能性があるからです。更に、データを再プリントされる場合には、プリント時の色ずれも発生するはずです。三番目以降は我々にとっては手の及ばない範囲ですが、それでも対策はあります。但し、お客様にそこまで要求するのは現実的ではないと思います。
一番目と二番目は我々が解決すべき問題です。1番目はスキャナーの色ずれです。スキャナーの色ずれは、かなりあります。メーカによっても違いますし、同じメーカでも機種によって異なります。極端には、一台一台でも微妙にずれがあります。一度メーカに問い合わせたことがあるのですが、『その程度の色ずれは、弊社の規格範囲内です』と言われておしまいでした。これが規格内なら、規格は無いに等しいというのが私の感覚ですが、致し方ないことです。従って、その色ずれは自分たちで補正するということにしております。
二番目はモニターの色ずれです。モニターを見ながら色の補正を行いますから、モニターの特性が入ってしまうわけです。従って、現在はキャリブレーション機能のついたモニターを使っております。
こういう作業をしなければならないというのは、手間も問題ですが、本当に合っているかという問題が常に付きまといます。なぜかというと、色には絶対的な評価基準がないからです。
写真の場合を例にとりますと、晴れた日の窓から入ってくる太陽光で見る写真と、室内の蛍光灯の光で見る写真では明らかに色味が違うからです。
ですから、いろいろな条件を考えると、本当に正しい色とは何かというのが分からなくなってしまうのです。
もし、使っている装置が、規格をパスしたものであれば、この規格に準拠した装置を使っていますということで全てが解決してしまうのですが、そういう認証システムが無かったので今は色に関しては野放しと言ってもよいかもしれません。先ほどのスキャナーメーカーの対応を見ていても実にいい加減であるということがよくわかります。
今回、そういう認証システムができるというのは有り難い話なのですが、気になるのは一メーカの認証ということです。日本は、なぜか公的認証という方向に動かないのかが不思議です。ヨーロッパであれば、なからず公的認証という方向になります。そして、そういうビジネスが生まれてくるのですが、日本ではいつも規格が私的なものからスタートしてしまい、複数の規格が併存してしまうのです。多分、競合するメーカはそのメーカの認定を出したりするんでしょうね。まあ、日本的と言えば日本的です。ヨーロッパの動き方もなにかもっとスケールの大きな下ごころのようなものを感じてしまいますから。
日曜日, 2月 20, 2011
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