土曜日, 3月 07, 2009

お年寄りに写真を見てもらうこと

 私の近親者にパーキンソンを患っている人がいます。また、私の知人の親御さんが認知症にかかり、いろいろ苦労されているようです。私の亡くなった母もガンが脳に転移し、認知機能が失われて最後は病院のベッドの上で亡くなりました。パーキンソンと認知症が症状も原因も別ではありますが、脳の病気であり、その人の過去を奪っていくということでは、ご本人にとっても、あるいは近親者にとってもとても辛いことです。

 勿論、私はそういう方を外から見ているしかできないので、本人にとっての本当の苦しみはわからないのですが、なんとか防ぐ方法はないものかと思っています。

 特に、認知症はまだ防ぎようがある病気だと思います。いろいろ認知症にならないようにする工夫が世の中で伝わっていますが、基本的に本人の努力で解決しようということが主体になっているようです。

 そこが、認知症対策の最大の問題だと私は思っています。特に、お年寄りが認知症になるきっかけが入院などを要する病気です。まだ、本を読んだりできるレベルの病気であれば、本人の努力でなんとかなるのですが、それすらできない病気で長期入院がきっかけで認知症になってしまうこともあるそうです。

 私は、そういう時のために写真をもっと使ってほしいと思っています。勿論写真でなくても映画やテレビを見ていても刺激になるのでしょうが、個人の写真と映画では、刺激を受ける程度も、刺激の受け方も違うはずです。忘れかけていたものが蘇ってくるのが、写真にしかない刺激の受け方です。写真を見ることさえできれば、脳に対して刺激を与えることができるのです。それが医学的に効果があるかどうかは分かりません。以前、何のつても無く大学付属病院脳神経外科の先生を訪問し、お聞きしたことがあるのですが、そういうことを証明するのは難しいとのご返事でした。私のようなものが突然訪れたのですから、無理もないことで、会って頂けただけでもうれしかったのですが、『やってみて、効果が出ていそうだったら、また来なさい』ということでした。だから、私は効果があるということは一切言えませんし、おそらく効果があるということを証明すること自体無理があるのではないかと思っています。しかし、もし、そういう境遇に自分がなって、手も足も使えないという状況になったら、目を使って少しでも自分に刺激を与えてくれないだろうかと思うと思います。放っておかないでくれという悲痛なお年寄りの声が聞こえてくるようです。