水曜日, 4月 07, 2010

デジカメの海外生産

 今日の新聞に、デジカメの生産が台湾などのEMSにどんどんシフトしているという記事がありました。日本で同じような役割を担っていたのが三洋電機でした。しかしデジカメメーカである松下に吸収されたことにより、三洋電機はEMS的なビジネスができなくなってしまったわけです。これが、台湾などのEMSへの製造流出につながっているようです。

 つまり、国内のカメラメーカは企画、設計、販売ビジネスか、あるいは商社のようなビジネスになりつつあるということになります。利益率の高いデジタル一眼に生産を絞るという狙いもあるようです。

 世間で一般に言われている製造の空洞化ですが、恐らく、設計も同様に空洞化する可能性は高くなっていると思います。典型的な例が台湾パソコンのACERです。ここは、設計も含めてEMSに出しているそうです。ACER本体としては、企画営業に集中しているわけです。しかし、これは台湾の中での話ですから、それほど深刻ではありません。

 カメラの海外EMSへの生産シフトは、製造付加価値を捨てるということですから、残った付加価値は開発付加価値と営業付加価値のみになります。日本は、資源を輸入して勤勉な労働力で品質の高い商品を作って発展してきた国ですから、国の利益を生む構造そのものが変化しつつあるということになります。企画、開発、営業のみで生きていくという選択肢もあるとは思いますが、それほど創造力の豊かな人が多くなっているとは思えません。むしろ他国に比べて比率は低下してきているのが実態ではないでしょうか。

 結果的には、自国の利益の流出ですから、国内の購買意欲は低下してしまいます。自らの首を自らの手で絞めているというのが実態なのではないでしょうか。その結果として、開発付加価値も低下していくのは目に見えています。営業付加価値のみになったら、もはや産業とは呼べなくなります。先に見えているものは、海外ブランドのカメラばかりという世界なのでしょうか。