月曜日, 10月 06, 2014

多摩美プロダクトデザイン展示会

 東京都渋谷区の代官山T-SITE ガーデンギャラリーで多摩美のプロダクトデザイン専攻によるデザイン展が行われていた。通りがかりに偶然立ち寄ったのだが、いくつか面白いものがあった。その中でも、下の写真にあるカメラが気に入った。というのも、おなじようなコンセプトのカメラをこのブログで書いたことがあったからである。今回の展示は、虫などの接写ができるよう、表示部が折れ曲がるようになっていたので、私がブログに書いたものより進化している。
 キャノンが協力していいるようでキャノンのロゴが入っていたのは愛嬌だが、こういうコンセプトのカメラが出てきてもよさそうに思う。ソニーのレンズカメラもあるがまだ主流にはなりえない。何れにしても、旧来のカメラというスタイルからなかなか抜け出せない今のカメラは、余りにも滑稽にしか見えない。というのも、今までのカメラはあの形に必然性があったのであり、特にフルム時代のカメラは必要性からあのような形にしかなりえなかったと言ってもよかったのだが、今のデジカメが旧来のカメラの形をそのまま維持しようとしているのは、単なるノスタルジーの世界に浸っているだけとしか思えないからである。いや、形を変えることに恐怖心すらあるのかもしれない。それで、チマチマと些細なことに拘った型にしてしまっている。ミラーレスなのに軍艦をつけたりするというところまでくると、もう笑うしかないと言ってもよい。

 スティーブ・ジョブズは、『デザインとはいかに見せるかではなく、いかに機能させるかである』と言った。iPhoneもiPadも機能させることに徹底してこだわったからイノベーションが起きた。こういう風に操作したい、こういう機能を入れたいという要求を徹底的につきつめ、それを実現させるようにしたために、今のスマホが出来た。恰好から入ったら今のスマホは生まれなかっただろう。
 カメラは未だに如何に見せるかだけに拘っていて、もっと悪いことに復古調にすることで客を引き付けようとすらしている。この延長には、イノベーションはあり得ない。今のカメラ業界の元気の無さをまさに象徴していると言っていいだろう。

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