1カ月程前のことですが衝撃的なニュース飛び込んできました。アップルがイスラエルのLinxImaging (現在トップページしか表示されないようです)というカメラ技術会社を買収するというのです。この会社は複数のカメラを持つ携帯電話用、携帯パッド用のカメラを開発している会社です。その特徴は、立体的なイメージを合成できることにあります。判りやす表現すれば、人間の眼と同じで2つのカメラを持つことによって奥行き情報を含む画像情報を取得するというものです。
2つのカメラで立体画像を作るというのは何ら新しいものではありません。立体画像を作るカメラも市販されています。しかし、今回のカメラ(モジュール)は、それを目的としているだけではなく、カメラに奥行き方向の情報をもたらすことによって、格段にその処理範囲を増やすことにあるのです。
例えば、画像から特定の焦点位置に合わせて大きな開口で撮った時のボケ画像を合成することができるのです。少し前に、ライトフィールドカメラのことを紹介しました。ライトフィールドカメラは一つのカメラで3次元の情報を取得するという画期的なカメラでした。ただ、その欠点は解像度が低いということです。しかし、今回のカメラモジュールは、解像度は一つのカメラの性能で決まります。少し前に書いたように、スマホ用のカメラ、特にiPhone6のカメラは非常に優れた性能を持っています。その画像は一眼カメラに引けを取らない高い画質です。ですから高い画質のカメラを2台組み合わせることによって、高い画質のままで3次元の情報を保存できるのです。
これは、とんでもないことです。一旦3次元の画像を取得してしまえば、あとはバーチャルな世界でレンズを交換して好きなような画像を合成することができるからです。ボケ味を楽しむのも容易なこととなります。癖のあるボケを作ることも可能でしょう。大きなセンサーでボケ味を楽しむという一眼カメラの最大の特徴を豆粒のような小さなカメラで実現しようというのですからとんでもないのです。アップルは一眼デジカメの牙城すらも突き崩そうとしているのでしょう。
それにしても、これだけ危機的な状況にあって、既存のカメラメーカは何も手を打ってこないというのは不思議なことです。カメラの通信機能すら大半がWIFIかブルートゥースです。3G、4Gの通信機能を持たせたカメラは、フォトキナで発表されたパナソニックのDMC-CM1くらいでしょうか?一眼カメラのボケ味まで携帯が持つようになったとしたら、残っているのはノイズの優位性程度でしょう。それだって技術の進歩はすさまじいものがあり、携帯カメラで同じ程度のノイズに抑えるこだっていずれ実現できると思います。一眼が、ハッセルブラッドやゼンザブロニカのようにごく一部のマニアのためのカメラになる時代が来たのかもしれません。そう言えば、最近の一眼カメラが、復古調デザインを追求しているのも自らの先行きを予感してのことかもしれません。
水曜日, 5月 13, 2015
登録:
投稿 (Atom)