週刊ダイヤモンドのオンラインに面白い記事があった。『新しいカメラの購入で明らかになったデジタルビジネスの抱える問題点』と題するガートナーブログネットワークのマーク・ラスキーノ氏の意見だ。要は、カメラメーカはカメラを作るところまでしかやらず、そこから後のビジネスチャンスを捨ててしまっているということを言っている。これが、デジタルビジネスに変わった時に、カメラメーカが気づくべきであったが、カメラメーカは、アナログからデジタルに変えることだけに執着し、未だにそこから変わっていないと言いたいのだろう。
カメラメーカも、カメラを販売する上で、写真保存サービスや、写真加工ソフトの販売も行っていると反論すだろう。しかし、それは、あくまでもカメラを販売するという目的の領域から一歩も出てない。実際に、カメラメーカでオンラインのビジネスで成功しているメーカは私が知る限りでは存在しない。逆にGoProのようにオンラインの環境を上手く利用して、新たなカメラビジネスを構築したケースはある。
氏の発言の本質は、アナログ写真からデジタル写真に変わった時に、写真の役割が根本的に変わったと言うことだろう。アナログ写真は記録であった。しかし、デジタル写真は、情報になった。つまり、情報は生かしてこそ情報であり、情報の入り口を牛耳っていたカメラメーカは、その後の情報を生かすビジネスをみすみす捨てている。代わってサードパーティーがそこに付け込んでビジネスを展開している。しかも、氏が例に出している保存共有やオンラインでの写真加工という比較的に写真に近い領域だけにはとどまらない領域がまだ大きく口をあけて待っている。
今のカメラ業界の活気の無さは、まさにそこにあるのだろう。カメラ業界という言葉自体が、既に時代の流れについていけていないことを象徴している。