日曜日, 11月 11, 2012

画素数と被写界深度

 画素数が多いということは、解像度が高いということと同義であると思うのが普通です。コンデジは別として、ここでは一眼カメラを対象とした記述とします。従って、レンズなども一定以上の性能があるという前提です。

 まず、画素数とレンズの能力について確認しておきます。もっとも一般的なAPS-Cサイズセンサーのカメラに限定します。現状ではAPS-Cセンサーのカメラで最高の画素数は2400万画素です。これはセンサーのサイズとして、3.9ミクロンになります。ただ、解像度を決める緑の画素は1画素置きにしか配置されてないということと、偽色の防止のためのローパスフィルターが存在しますので、センサーの分解能としては6ミクロン程度と思われます。一方、レンズの解像度はFナンバーで決まります。6ミクロンの解像度になるFナンバーはおおよそ9ですから、F9よりも明るい絞りで使う分には解像度を気にする必要はないことになります。また、逆にもっと明るいレンズを使ってもセンサーの制約があり解像度は上がりません。

 なるべく高い解像度で写真を撮りたいという時に、気をつけなけらばならないのはボケです。もともと、ボケ味を楽しむ写真であれば良いのですが、ボケて欲しくない写真の場合、被写界深度がどれだけあるかということを知っておく必要があります。被写界深度を求めるには、最小錯乱円の直径(CoC:Circle of Confusion)を決めておく必要があります。一般的に最小錯乱円直径は35ミリフィルムカメラの場合は0.03ミリとい数値が使われていますが、これはフィルム対角の約1500分の1に相当します。厳密には写真の見方(使い方)などによって違ってくるはずです。同じ定義ではAPS-Cセンサーのデジカメで同じ数値を用いると約0.02ミリ(20ミクロン)という数値になります。しかし、これはデジカメに適しているとは言えません。なぜなら2400万画素のセンサーが3.9ミクロンのピッチで出来ているのですから、20ミクロンのボケまで許してしまうというのでは、高分解能センサーを使う意味がなくなってしまうからです。

 そこで、最小錯乱円の径をセンサーの分解能6ミクロンの1.5倍の9ミクロンに設定してみます。その条件で1メートル先の被写体を焦点距離60ミリ開放F4のレンズで写すと、被写界深度は幅で18.8ミリという値になります。これはかなり厳しい値です。被写体の凸凹はもちろん、カメラが少し傾いただけで被写界深度をはみ出してしまいます。なにしろ幅で18.8ミリということは片側では9.4ミリしかマージンがないわけですから。

 ではどうすればよいかというと、絞るしか方法はありません。無限遠の被写体でF9まで絞れば、被写界深度は43.2ミリまで拡大します。 

 何を申し上げたいかというと、画素数を大きくして解像度を上げようとすると、単に露出だけで絞りやシャッター時間を決めればよいということではないということです。当たり前ですが、絞り優先以外のオートでの撮影は無理です。

 被写体の凹凸を見て、カメラのセッティングの誤差やフォーカスの誤差も考慮した上で必要な被写界深度を求め、それに見合った焦点距離のレンズや絞りを選択する必要があるということです。 もっと別の言い方をすると、2400万画素のカメラを最高の性能で写すのはとても大変なことだということです。画素数が多いということは難しいことも多くなるということです。

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