月曜日, 3月 22, 2010

クリストとジャンヌ=クロード展

 先日、クリストとジャンヌ=クロード展を見てまいりました。とてつもないことを考える芸術家です。巨大な建造物を布で覆ってしまったり、万里の長城のような長い布のフェンスを作ったり・・・と、想像を絶する芸術を見せてくれます。オブジェ(かれらはプロジェクトと呼んでいます)を作っている最中はある意味では建造物の建設現場の雰囲気であり、とても芸術を行っているという雰囲気ではありません。

 しかも驚いたことに、それらのための費用は自分たちが書いたスケッチなどを売って貯めたもので賄い、一切の公共からの援助などを仰いでないそうです。

 プロジェクトは30年位かけたものもざらで、いまだに進行中のものもあるようです。ジャンヌは既に他界してしまったため、クリスト一人で継続しているとのことです。

 私は、これを見たとき、芸術の本質を見たような気がしました。巨大なビルを布ですっぽり覆ってしまう、万里の長城のような長い布のフェンスを作ること、これらは現実の世界では全く意味のないことです。しかも、完成して2週間後には跡形もなく片づけてしまうのですから、せいぜい写真とかスケッチでしか残らないものです。つまり、残すことは目的ではないのです。彼らにとっては、それを行うこと・表現することに意味があったのだと思うのです。

 人間のこころの中に生ずる衝動が行動させているとしか言いようがありません。そのことが芸術の本質なのだと思えるのです。

0 件のコメント: