木曜日, 6月 25, 2009

みたことのない世界・世界報道写真展

 今年も、写美(東京写真美術館)で行われている世界報道写真展に行ってきました。ニュース関連の写真と現代社会の問題を浮き彫りにした写真には、どちらかというとちょっとぎょっとするような写真が多いのですが、スポーツや自然をテーマにしたものは見ていても本当に勉強になります。
 報道写真ですから、芸術作品としての写真とはちょっと趣が違います。どちらかというと、構図などはおかまい無しという作品が多いのが特徴です。 それでも写真にオーラのようなものが感じられるのは、やっぱり絶対的なシャッターチャンスを逃してないとか、被写体に出会った瞬間の写したいという情熱とか欲望があるからなのでしょう。 感心してしまうのは、この写真いったいどうやって撮ったんだろうと思うような写真が結構あるのです。昆虫を接写で撮ったものなどは、本当にびっくりしてしまいます。普通のマクロレンズなどではないと思います。おそらく、顕微鏡レベルのもので撮っているのだと思いますが、われわれが普段目にすることのない世界が見られ、本当に自然の造形に驚かされてしまいます。
 昆虫写真と言えば、、今森光彦さんの写真が有名です。ちょうど一年前に今森さんの写真展が同じく写美で行われていたのですが、その時も本当に感心してしまいました。 そういえば、先日NHKで放送していた軍隊アリの特集では、、栗林 慧さんが超深度接写レンズを使ってアリを撮影していました。解像的には、相当苦しい感じがしましたが、きっと写真家の方はいろいろ工夫をして撮影されているのでしょう。 どちらにも共通していますが、やはり、見たことのない世界を見るというのはわくわくしますし、写真の原点でもあるのかもしれません。それは報道写真展のすべての写真についても言えることだと思います。そういう目で見ると、われわれの近くにも見たことのない世界がずいぶん沢山残っていることに気が付きます。
 写真を撮るというのは、見たことのない世界を誰か他の人に見せてあげることなのかもしれません。報道写真ではなく、芸術写真であっても、それを見てはっとするのは、やはり見たことがないからなのかもしれません。だれかのポートレートにしたところで、その人が日常的に見せている表情であれば、それほど驚くことはないのでしょう。でも、誰にも見せないような表情が撮れれば、それは写真として価値が生まれるのだと思います。
 私は、ヒトの写真を撮るときは、「ハイチーズ」という撮り方はあまり好きではありません。撮ると思わせないで、あるいはちょっとテストと言って撮ったりします。そういうときの皆が横を向いたり、笑ったりしているときの顔の方が、はるかに面白い写真になるものです。 一度、見たこともない写真を撮ってみるというスタンスで被写体を探してみるということにも挑戦してみてはいかがでしょうか。

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