日曜日, 6月 27, 2010

デジタル一眼

 一眼というと一眼レフとほとんど自動的に口に出てしまいますが、レフのない一眼が注目されています。レフ、つまり反射がない一眼です。一眼レフは、レンズから入ってきた像をファインダーに導くための反射光学系が入ってますが、これが無いタイプです。


 メリットは、その分小さくできること、ミラーをバタバタ動かさなくてもよいので、電子化が一層進み、コストも抑えられること、ミラーを入れるという制約がなくなり、レンズの設計に自由度が増えその分よりよいレンズが作れることなどです。一方、光学ファインダーがないので、液晶画面をみて写すということになり、コンパクトカメラのような持ち方、写し方になるわけで、手ぶれを起こしやすいということにもなります。電子的なファインダーを付ければ、従来の一眼レフと同じように扱えますが、電子的なファインダーと光学的なファインダーでは厳密な意味では完全に同じであるとは言えないと思います。撮影者としては、生の像を見て、その雰囲気をいかにデジタル画像に残すかということに拘りたいのですが、電子ビューファインダーではすでに加工されてしまった像を見ることになり、印象が変わってしまうような気がします。レンズに関しては、従来の一眼レフレンズとの互換性がなくなるという点もメーカによってはデメリットであり、逆にメリットになるメーカもあると思います。

 そういった違いを頭に描いて先日S社のものを見てきました。ターゲットは、どのあたりなのかがちょっと私にはわかりませんでしたが、コンパクトさだけは飛びぬけていました。中型のデジカメ(高性能コンパクト)、一眼レフが融合したようなものです。レンズ交換のできる中型のデジカメでしょうか。

 しかし、私には何か違和感がありました。というのも、この新しい方式は考えようによってはカメラにとって非常に大きな変革であり、これを生かすのか殺すのかという考え方次第では、現状の一眼レフの市場にも大きな影響を与えるものになる方式だと思っているのですが、いままで出てきた製品にはそこまで踏み込んだインパクトというものが感じられないからです。単にコンパクトであるということしか伝わってこないのです。確かにコンパクトさは大きな魅力です。しかし、高性能コンパクトと同じでは魅力を一手に引き受けるほどの特徴にはなりません。過去、APSという規格で小型化を狙ったカメラが出たことがありましたが、フィルムではメジャーにはなりませんでした。

 私には一眼レフを凌ぐようなものを期待していました。とくに、一眼レフで後塵を拝しているメーカが出すのであれば、この方式は市場を席巻するまたとないチャンスであったはずです。レンズの互換性というものを考えなくてもよい方式だからです。もちろん、アダプタを付けて従来のレンズと互換性を保った形でのデジタル一眼を作ることも可能でしょうが、それではコンパクトさは犠牲になってしまいます。

 動画に対する考えかたもなにやら手探りのような感じがします。動画を重視していることは分りますが、動画主体でないのは明らかです。しかし、その動画を前面に押し出しているのも気になります。動画は、今回の方式とは直接関係のない機能です。このあたりにメーカの戸惑いというかいやらしさが出てしまっているような感じがします。

 もうひとつ気になるのは、レンジファインダー方式のデジカメとの関係でしょう。レンジファインダーデジカメはあまり世の中に普及しておりませんが、レンズ交換ができ、しかも、ライカレンズを搭載することができるため、光学性能は優れており、趣味性の強いカメラになっている。できれば、この領域に迫って欲しいと思っているのですが、それを低価格で実現してくれることを強く願っているのです。

 流れとしては、35ミリフルサイズの高性能一眼と動画重視というより動画主体のコンパクトさ重視、ビデオカメラとの融合のようなカメラという2つの方向に行くような気がしていますが、どうなるか楽しみです。

 現状では大手一眼レフメーカがまだ参入してませんので、この方式がどういう方向に進むのかがわかりませんが、もう少し待って様子を見たいと思います。

土曜日, 6月 05, 2010

オルセー美術館展

 昨日、オルセー美術館展に行ってまいりました。本などで見たことのある絵画の本物を見ることができ、やはり実物のもつ迫力を感じます。色合いなども印刷とはすこし違った感じがします。


 印象派以降の絵画でしたが、印象派がそれ以前の写実的な絵画に対し如何にドラスティックな変化をもたらしたかがわかりますし、その画風はいまだに続いているともいえます。私はルノワールからゴッホくらいまでの絵が気に入っています。それ以降は抽象画の世界が入ってきていますので、私にはなかなか理解できない絵が多くなってしまいます。そういえば写真の世界もだんだん抽象的なものが増えてきているようです。

 絵を見るというのは、写真を見ることと共通したものがあります。なぜかわかりませんが、見た時に瞬間的に引き込まれるものがあるのです。

 基本は、色使いと構図なのでしょう。だから、写真と絵画を区別することは私にとっては意味無いことです。そして、画家たちが本当に構図(三角構図が多いように感じました)や色合い、筆のタッチにこだわって絵をかいていたというのがよくわかります。だから、絵画を見るというのは、写真の勉強にもなります。ひとつ大きな違いは、写真はあくまでも写実の世界です。絵画はそういう意味ではもっと自由な表現が可能です。一つの絵のなかに、それぞれの物体が違った角度で描かれていたりします。そういう手法が後のピカソに代表されるキュビズムに結びついたとも言えるのでしょうか。

 写真もデジタルの時代になりましたので、自由な表現を手にいれつつあるともいえます。