木曜日, 5月 27, 2010

どうして印刷するのか

 写真はプリント(印刷)するものだと思っている人は結構多い。これはとっても不思議なことです。昔は、写真はプリントで見るしかなかったから、プリントするのが当たり前であったわけで、その習慣がついているといわれればそれまで。でも、今は、パソコンで見られるので、プリントする必要は本当はない。


  昔、インターネットというかLANが普及し、仕事にメールというツールが入ってきた時、やたらと届いたメールを印刷する人がいた。インターネットになったら、紙の文書は減って、みんな電子文書になってしまうので、紙の消費は減ると言われていたが、蓋をあけてみたら紙の消費は却って増えてしまった。それは、上に書いたように、紙で保存していたからだった。電子という媒体を信用してなかったのか、保存するなら紙と思っていたのかもしれない。

 写真にも同じようなことがあるのだろう。しかし、トータルとして、プリントする写真の枚数は増えてはいない。むしろ減ってきている。デジカメになって、写す枚数は圧倒的に増えた。従って、従来のように写したものはすべてプリントするということになると、やたらと経費がかかる。そこで、選んでプリントするようになったということかもしれない。徐々にプリントするという習慣が抜けつつあるのだろう。

土曜日, 5月 22, 2010

ベレニス・アボット

 横浜美術館のコレクションの中のベレニス・アボットの写真を見てまいりました。1930年代に撮ったニューヨークの写真でしたが、思わず息を呑む美しさです。実に細かいところまでシャープで、精緻な写真です。アングル、構図も素晴らしいのですが、私が驚いたのはやはりその精緻な美しさです。多分、いまのデジカメでは表現できないのではないかと思います。おそらく8×10の大判フィルムを使っていると思いますが、プリントは、ゼラチン・シルバー・プリントと書いてありましたので、普通のプリントということになります。それにしても、1930年代に、あれだけの解像度のレンズと、あれだけ美しい現像焼き付け技術を持っていたというのはさすがです。 やはり、写真はピントと解像だと改めて感じた次第です。


 7月にはアボットの師でもあるマン・レイの写真展が新国立美術館で開かれる予定ですので、いまから楽しみです。